夢の前に
もっぷ

遠く、の庭に落ちていた
秋の葉っぱが迷って
春の野原に来てしまった
若若しく黄緑の

ぼくとは違うこどもたちだぞ
秋の葉っぱは淋しくてかなしくなった

遠く、へ帰ることはできないかな
そればかり秋の葉っぱは思うのだった

陽が落ち夜が来て
そして明けて希望が目覚める
春の野原

不似合いな自分が居た堪れない
まばゆさ
のなかで彼は
おとなだけれどついに

泣き出してしまった
ある、五月のこと

見映えも言葉も異なる若さたちは訝しげに
秋の葉っぱを見てやがて
すぐに忘れて楽しそうに風と遊びはじめる
、風が
迷い込んだ彼に気がついた

帰りたいのかい?

薫風という名の風が秋の葉っぱに声をかけた
そしてすぐに察して父さんを起こし
何かしらを頼んだ様子で

一陣の北西風

秋の葉っぱは帰ることができたのよ
、そこまで聞いてあたしは眠ったの
母さんのお話はいつもとっても素敵なの!


自由詩 夢の前に Copyright もっぷ 2012-06-10 22:35:07
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