梅雨
nonya


地面に
言い聞かせるように
雨が降り続く

無色の
絶え間ない呪文が
街を塗り潰す

紫陽花は
すべてを受け止めようとして
雨雲を黙読し

雨傘は
すべてを受け流そうとして
溜息を黙殺する

雨が嫌いになるほどの
深手は負っていないが
雨が好きになるほどの
甘口の想い出もない

生乾きの意識を
一枚着こんだまま
低い空の下を匍匐前進する
日々が
またやって来た




自由詩 梅雨 Copyright nonya 2012-06-10 09:21:21
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