Corundum
南 さやか
封印の切れ間から解き放たれた
過去の残照
触れることの出来ない 誰かの眼差しが
導線を伝って呼び覚ます 同じ痛み
掛け違いのボタンが全部 床に散らばって
ようやく向き合えた私たちは
笑顔を失ったまま 無心で
互いを確かめ合っていた
歓びに到達することのない睦みのように
何度も空回りを繰り返しながら
快楽のスイッチを探し続ける夜明け
きっと奇跡は起こらない
だけど もう
出会う哀しみと またすれ違う空しさを
ここで終わらせたかった
自由詩
Corundum
Copyright
南 さやか
2012-06-08 04:30:37