友よ
乱太郎


友よ
あなたがこれまで流した涙の量を
知る由もないのだが
これからは僕の頬を使えばいい

友よ
あなたがこれまで吐き出した怒りを
どこで燃やしてきたのか
これからは僕の手を焦がせばいい

友よ
あなたがこれまで味わった屈辱を
なにを蹴って紛らわしてきた
これからは僕の足を踏みつけてみたらいい

僕は決してキリストではない
僕は決して仏でもない
平坦な道の街路樹の木陰で時折たたずむ旅人
めそめそしたり
訳もなく当たり散らし
いい加減に嘘も吐く

友よ
あなたが僕を友と呼んでくれるのなら
地獄に突き落としてごらん
生き残りの空席はひとつしか残っていないそうだ


自由詩 友よ Copyright 乱太郎 2012-06-07 15:35:09
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