マスターキー
umineko

忘れ物を取りに
真夜中
オフィスに向かう

追いかけてくる
警備の人を置き去りに
マスターキーで
ずんずん進む

いかめしい
暗証番号も
全部ぜんぶチャラにして

そうか
そういうことなんだ

唐突に
私は気づく

あなたの
幾重の胸のドア

ずんずん
ずんずん
マスターキーで

たぶん
私が欲しかったのは
私に だけの
マスターキーだ

あなたの
胸の奥の奥
嘘と孤独のテディ・ベア

私は
それを抱きしめる

私が
それを救ってあげる

 
 
 
 


自由詩 マスターキー Copyright umineko 2012-06-05 22:41:32
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