伝説というはじまり
月乃助

少年は、石段の途中でふり返った
少女の気配を感じた、
そう想った





     ・・






ガス・マスクに着古したウェディング・ドレス
少女の姿は、そんなものだった


マスクは、汚れた森の今日を生きるため
ドレスは、予定調和の明日を夢みる糧として


酸性の核雨はふりやまず
森を灰色に染めていく


ベクレル」」」」4ベクレル 「「「シーベルト???? ミリ******4
不思議な黒魔術のような呪文が森をおおった





少女は、祭壇にひざまずき・・
いえ、かつてそれは 人が崇めたもの
空色にぬられた 巨きな四基の聖体
雲をうかべた
その絵姿は、天への賛美のため
そう人々が昔口にした



崩れ去ったその中に 今 人は、
昔みた夢や驕りを 埋葬した
石棺となったそれは、またいつか 空色のペイントがぬられる
自分たちの犯した罪を
隠し/購うため
そのための 迷彩色


祈りを終えた 少女がたちあがる
娘には、あらたな命をやどす 力がある
期待ほどの 計画をその背に負いながら
泥あせた 花嫁衣裳をひきずり
歩む




祭壇のかげで、
マスクの 小さな二つのガラスをふきながら

少年は、
少女をみつめてい」た






   ・・





その時は、もうすでにはじまり、
幕があがっている


新生の森の物語、
ただ、演ずる 二人だけが、
知らずにいるだけ、、、、














自由詩 伝説というはじまり Copyright 月乃助 2012-06-04 19:04:45
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