カメラ
HAL

ぼくは何処にいくにも
カメラは持っていかない

どうしても映しておきたいなら
眼をレンズにして心のシャッターを切る

もしそれがいつか忘れるものなら
撮る価値のなかったものだと云うこと

本当に記憶に残るものだけが
心に定着する本質があるもの

カメラで対象を撮る行為は
実はその時 対象を視てはいない

対象を肉視してはいないのだ
対象を視たと想っているだけだ

またカメラには音も風も匂いも
一切 映すことはできない

最近 暫々レストランなどで
オーダーした料理を映すものがいるが

それは礼儀作法を知らない無恥が
そうさせるものだとはまず分かっていない

ブログに載せるためとかの
詭弁とも想える言い訳を多く聞くが

これは馬鹿に便利なものをもたせると
碌な遣い方をしないと言う真理の典型

さらにそれはとても恥ずかしい行為だと
ほとんどのものは気づいていない

それは自分の記憶力を自ら破棄するものだと
だれひとりとして分かったいるものはいない


自由詩 カメラ Copyright HAL 2012-06-04 02:20:13
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