カザフスタンの看護師
たもつ
カザフスタンから来た
優しい女性看護師が
僕の脚をさすりながら
もう痛くないかと聞く
もう痛くないと言うと
良かったと嬉しそうに言う
カザフスタンはどんなところか聞くと
日本語はよくわからないと言う
いつ退院できるのか聞くと
記録を見ながら
早ければ明後日には退院できると言う
恋人はいるのか聞くと
日本語は難しいけれど
夏の蒸し暑さにはようやく慣れたと言う
夜が白み始めている
忘れるためだけに見る夢を
見ている人がいる
看護師は僕の脚をさすり続けたまま
今年は海に行きたいと言う
誰に教わったのか
クラゲは大丈夫かと言う