あまがみ
nonya


あまぐも

垂れ下がる昼下がり

うっかり爪を引っかけたら
鈍痛を引き寄せてしまいそうな



あまがさ

濡れた匂いは嫌い

美味しくない想い出と憂鬱が
しつこく纏いついて嫌になる
ヒゲ


あまおと

三角耳を責めたてる

マイペースという名の我儘を
許してしまう君のとっておきの
孤独


あまやどり

したことなんてあったっけ?

尻尾で返事はするけれど
君がつけた僕の名前は淋しさの
句読点


あまがみ

したくてしたくてたまらない!

湿った音符を猫背に貼りつけたまま
ちっとも踊ってくれない君の
爪先

あまがみ





自由詩 あまがみ Copyright nonya 2012-06-03 09:15:28
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