岩手の湯
生田 稔
岩手の湯
やまぼうし白き花つけすっくりと木々のまにまに立ちおりにけり
ソロモンの詠い残せし雅歌なども思い出づる朝のしじまに
もの音も何もせぬ朝一人して歌を詠みたり窓辺に坐して
ひめかゆという温泉に宿泊し胆沢の里の日は終わりけり
歌作る折りは私的に似つかわし次々に詠むにふさわし
六畳の部屋はかなりに狭かりき夕食を待つ夕のすぎゆく
一夜明け皐月のつきは過ぎゆく日朝のしじまに一人座す
薄青き空は広がり川の音せせらぎの流れに耳をそばだつ
そよと風窓辺の木々を揺らしおり今日の一日如何にすごさむ
光映ゆ山の背の緑鮮やかに心にしみて健康に良し