ひたすらに
はるな


さわられると
そこからかたちになってゆくような心持ちがしました
口をつけられると
そこから血がめぐるような

はげしさは
はるか向こうでゆれる波でした
ことばは
ばらばらに砕ける音の残骸でした

ひたすらに
生きているということを忘れるようで

はじけるような混乱のなかで
あまりにもまぶたが熱いので
暗がりがひかりにまみれてしまいました

舟、舟
舟のひとは
櫂をもたずゆらゆらゆくよ
海、海
海のひとは
体をもたずゆれつづける
丘、丘
丘のひとは
時をもたずまちつづける

さわられると
そこからかたちを失うような心地がしました
口をつけると
そこから血が抜けてゆくような

あまりにもひかりが溢れるので
明いた目が真っ暗につぶれてしまいました



自由詩 ひたすらに Copyright はるな 2012-06-02 00:03:51
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