ひたすらに
はるな
さわられると
そこからかたちになってゆくような心持ちがしました
口をつけられると
そこから血がめぐるような
はげしさは
はるか向こうでゆれる波でした
ことばは
ばらばらに砕ける音の残骸でした
ひたすらに
生きているということを忘れるようで
はじけるような混乱のなかで
あまりにもまぶたが熱いので
暗がりがひかりにまみれてしまいました
舟、舟
舟のひとは
櫂をもたずゆらゆらゆくよ
海、海
海のひとは
体をもたずゆれつづける
丘、丘
丘のひとは
時をもたずまちつづける
さわられると
そこからかたちを失うような心地がしました
口をつけると
そこから血が抜けてゆくような
あまりにもひかりが溢れるので
明いた目が真っ暗につぶれてしまいました