霧を食む
霙小町


 悲しみを食べて
 生きていけたらいいのに
 そうしてあなたを
 からっぽにしてあげるのだ

 あなたの悲しみを食べたいのです
 もう泣かなくていいように
 もう しんでしまってもいいように
 そうだ、あなたの左腕をください
 そんなものがあるから
 いけないのです

 悲しみなど
 霧のようなものなのだ
 あなたを取り巻き
 静かに狂わす
 ああ あなたの周りを
 照らす力が僕にあったなら

 そんな煩わしいものは
 捨てておしまいなさい
 痛みを知るための腕など
 なくてもいいのだ

 僕があなたの悲しみを
 食べてしまえたらいいのに



自由詩 霧を食む Copyright 霙小町 2012-05-31 19:28:33
notebook Home