待ち合わせ
南 さやか
どれだけ時が過ぎただろう
手を繋ぎ 押し黙ったままの二人の上を…
水の中の寝室みたいに
あまりに静かで 目が醒めた
風が紡ぐ詩には 節があって
伝えられない言葉はいくつもいくつも
空で生まれて 消えて行く
"好き?"と聞くにはタイミングが遅すぎた
この体で出来ることなど もう
ひとつも残されていない
私たちには…
だから 未来の待ち合わせ場所を決めておいて
ほんとうによかった
どれだけ時が過ぎただろう
体を流れる透明な汐を伝い
あなたと溶け合う 夢の狭間
ひと足先に目覚めたから
先に来て あなたを待っている
ふーっと息を吹き返すあなたが
最初に出会う人が 私であるように