ひそやかな密度
海里

毎日の駅舎の
プラットフォームの屋根の
「頭上注意」のとある一区画から
いつも落ちて来ていたハトたちの声
優しく鳴き交わしていた声

くるっくー
でぽー

けれども今日は駅舎の
プラットフォームの屋根の
「頭上注意」のとあるその一区画から
落ちて来たのはいつもとは違うもの、違う声

ぴーぴーぴーぴー

今まで聞こえて来ていたのは
やっぱり愛し合う夫婦同士の声だったんだね
仲睦まじく
くるっくー
でぽー
の、その後の
ぴーぴーぴーぴー

ヒナたち元気に育て
これから「夏」というものが始まる


自由詩 ひそやかな密度 Copyright 海里 2012-05-30 22:25:06
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