大気の中で(改作)
永乃ゆち

或る雨の日あなたを想って泣きました

机の引き出しにしまったままの手紙はインクが色褪せて読めません

グラタンは焦げ過ぎました

愛しい苦しい哀しい切ない日常がこの先ずっと続いて行くのですね

一生成就しない思いを胸に抱いたまま

何食わぬ顔で日常をこなさなければならないのですね

ウェッジウッドは割れてしまいました

あなたと決別する時は自分自身と決別する時です

愛しい哀しい苦しい切ない日常を作り笑いで過ごさなくてはならなくても

一生成就しない思いに何の意味もなくても

断ち切れない思いに

心逸らせる情熱に

押し潰されそうな大気の中で

あなたを想って暮らします

この想いこそが唯一の真実で

この感情こそが無二の愛情で

泣き腫らした目をした朝にも

嗚咽をかみ殺す月明かりの夜にも

あなたを想う事こそ

生きている証なのです

あなたが居るだけで

あなたが呼吸をする事で

私はひっそりと

生かされているのです

胸を砕く嵐にも負けない

この強い想いこそが

私を生かすただ一つの心臓なのです

だからどうか

あなたは私を見向きもせず

あなたとして

生きてください

あなたとして

生きてください


自由詩 大気の中で(改作) Copyright 永乃ゆち 2012-05-30 19:56:54
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