海草
永乃ゆち






無限のループに取り込まれてる

もがくほど足掻くほど足首に絡みついてくるそれは

遠い昔母と潜った海の底の海草たち

母はもう私を分からない

私を虐待していたことも忘れてしまっている

今更この年老いた母と言う生き物に

期待する事は何もないが

彼女の最期は私の手で迎えさせたいと思う


無限のループ

果てなき旅

地球の自転に逆らった私には

怖いものなど何もない



「母さん。今までありがとう。あなたの事大嫌いだった」



もがくほど足掻くほど海草が絡まって身動きが取れない

未だに母の呪縛が解けないのだろうか

もうやめよう。抗うのはやめよう。



海草に包まれて私も最期を迎えよう



「お母さん草がいっぱい生えちょるよ!

海の中にも草って生えるんだねぇ!」

「あんまり遠くに行っちゃいけんよ

危ないからね」


ただ一つの優しい記憶を持って


自由詩 海草 Copyright 永乃ゆち 2012-05-29 22:07:41
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