ワルツ
そらの珊瑚

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気温が一度上がっただけで
庭は目覚め
今夜は舞踏会だと
シロテンハナムグリが伝言する

白薔薇が
今まさにデビュタントに
踊り出そうという心持ちで
アーチの上でふんわりほころび始める

しみひとつない
白い絹を幾重にも纏ったドレス
空気をふくめば
シャボンのごとく惜しみなく香る

時は残酷だ
一週間もすれば
引退を余儀なくされるレディたち
風のストリングスでワルツを踊る

美しい季節は残酷だ
永遠に変わらないものなどないと
住人はとうに
わかっているのだ







自由詩 ワルツ Copyright そらの珊瑚 2012-05-29 15:07:19
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