2012/5/28
鎖骨




猫が捕ってきた雀
小さな小さな仔雀
誇らしげに口に銜えて来た時にはもう事切れていて
首なんて明後日の方向へ曲がっていた
のろまな猫に捕まっちまうなんて
きっと飛ぶのが下手だったんだろうね
でも
わかるよ
わかる、よ



そうやって一頻り
矮小な亡骸を儚んだ晩に
僕は血合いの煮込みを食べた
きっと群毎攫われたであろう可哀相な魚の
血合いを煮込んで美味しく食べた
虚空へ開かれたままになった黒い瞳と
同じくらいに黒くなった肉を



世の中ってそういうものなんだよと
誰に聞かせるでもなく
明日の朝、出掛ける瞬間に
扉を押し開ける瞬間にもう一度思い出して
きっとそれきりになるだろう





自由詩 2012/5/28 Copyright 鎖骨 2012-05-28 23:52:30
notebook Home 戻る