浪人探偵団
吉岡ペペロ
予備校にはリフレッシュにとテニスコートがあった
そこで僕らはほぼ一日中ダブルスをした
コートの周りの新緑は日々その影を濃くしていった
予備校に似つかわしくない汗まみれの僕ら
6月に入ると日焼けして浮いた存在になっていた
プレー中声をあげてると怒られた
だからボールを叩く音だけがこだましていた
テニスコート脇の木陰には枇杷の木があった
勝手にとっては口に入れた
固形のフルーツ牛乳みたいな美味しさに飛んだ
いくらなんでもとりすぎだと学園長に怒鳴られた夜
クチナシの白粉の薫が漂っていた
その夜闇は深くて僕らは探偵だった
誰がなにをしたというのだろう
あの夜だ
僕らが浪人探偵団となったのは