Chaos
南 さやか

太陽と目が合った
あなたの心の中に ただひとつ光る
まるで象徴のように神々しい輝き

太陽とキスをする
時が止まり 嗅いだことのない風の匂いが
愛の印のように 全身に纏わりつく午後

水を飲ませて…
その渇いた手のひらで

喉元に立ち止まる夏の半分は あなたのもの
そして私の…
ふたつを結ぶ河が生まれて
この虚無の果てに
最後のオアシスの種が芽吹く

だけどすべて幻…
あなたは心を閉ざし
その入り口の鍵を落としただけ



もう一度 太陽と目が合った
それは桃源郷の向こうで黒く滲む
甘い夢の残骸

私が一番欲しいもの
私に一番足りないもの

あなたが 手放せなかったもの




自由詩 Chaos Copyright 南 さやか 2012-05-28 16:41:24
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