入墨
salco

橋の下市長は
公務員の真皮着色は「そぐわない」と主張する
否、彼の公務員という概念に「フィットしない人体の様態」
という意味だろう
が?
公務員の皮膚に公共性はあるのか。

刺青をするような精神性に反道徳・反社会性を見
それが公務員的心得に反すると主張する
よしんばヤクザ同様の文様を入れていようと
ヤクザ、ゴロツキの類と異なり一人を除いては
自己顕示、示威恫喝に用いていないにもかかわらず

身体に自発的、自律的に加工を施す。

それが公務員の信用失墜行為にあたるならば
おっぱいをシリコンで加工する虚栄心
盛りブラで視覚詐欺を働く虚栄心
唇や瞼に彩色し睫毛をマスカラで伸長する虚栄心
流行りの服を買いブランドバッグを携行に及ぶ虚栄心は
ハイヒールを履いて背丈を嵩増す自傷的虚栄心は抵触しないのか
耳にイヤリングをしピアッシングする自己愛
耳たぶは良くてコンクやトラガスの自己愛はいけないのか
ビーチクやヘソ、イザベラやアルバートなら良いのか

抜ける、落とせる、外せる装飾は良く
恒久的に残る装飾が何故悪いのか。
その残留性と残存期間が職責遂行の弊害となり
一体、誰を害し損なうというのか。
一般国民、一般市民、人間全般と異なり
公務員の体組織は国家、地方自治体の規程に属するのか。

アマゾン奥地やサバンナの未開部族が鼻中隔に穴を開け
体表に瘢痕を刻み彩色を施し植物の実や獣毛をまとう
セルフアイデンティティーの表明、クランやファッションの表現
この根源的な人間の変態願望、身体装飾の欲求、服飾文化を
「公務員」という狭義の一文化に於いて否定する根拠
その正当性とは一体何か。

公序良俗だぁ?

ただの「思想」に過ぎない
ゴマンと存在し相克する「観点」の一つ
片側からもう片側を見遣る解釈に過ぎない
ちょんマゲとざんぎりアタマ同様の解釈変遷
流布しては変転し、消えては蔓延する「思想」の一つに過ぎない

「立場」「身分」「職分」という見地から人間を束縛し
個人の思想、自由裁量権まで侵そうとする時
それは決して「進歩」「進捗」などではないのだ

それは例えば
のべつまくなし女房とまぐわい
ガキを六人も七人もひり出すお前の文化
ナマ入れ中出し嗜癖の思想信条を無節操とし
ヒマに飽かせて亭主との「触れ合い」を日がな待つ専業主婦の
ささやかな幸福追求権と自虐的恥骨離開・括約筋弛緩尿漏れ加工を
やり玉に挙げて誹るに等しい

日々を職務に忙殺されるぐうたら職員の給与をカットするのは良いだろう
それはとりあえず市民を代表するお前と議会とに裁量権がある
だがまっさらな黄色皮膚の職員を取り揃えていかさま市政が改善するか
お前の独断裁決に自己保身の必要性がどれだけ従おうと
それが何かの利益になっていると戯言を吐くのはやめとけよ

お前のちっちゃな杓子定規など
ストレッチゾーン恃みの爪楊枝でしかない
人間性という抽象概念の裏にある
実証的文化人類学の堆積ナメんじゃねえよ。


自由詩 入墨 Copyright salco 2012-05-26 23:13:49
notebook Home 戻る