ドナドナを聞きながら
ドクダミ五十号

野菜を摘む 初夏の晴天の下

彼らは逃げる術を持たない

私の命という荷車に揺られ

何処へ 何処へ

センティメンタルに指が聞く

葉の嘆きの歌を

根の引き抜かれの絶叫を

爪と肉の境に強く香りを残すのは

一つの抗議ではなかろうか

それさえも土と欲望に塗れて

あゝ 罪の無からぬ者よ汝

石打に処すか 私を

何処へ 何処へ

轍は深く残るだろうか

それとも虚しく風に削られ

跡形も残さず夏の日照りの罅に分断され

跡形も残さずか

結局は私とて収穫から逃れられず

遂に何者かのてにより屠殺と言う名の

収穫をされるのだろう

だから だから 許されよ


賢い人は言う

綺麗事では生きて行けぬものだと

正しい事だとしても

ドナドナを聞きながら晴天の下

この胸の緩やかな悲しみの理由には届かない


ドナドナ・・・ ドナドナ・・・


自由詩 ドナドナを聞きながら Copyright ドクダミ五十号 2012-05-26 10:48:25
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