特売バナナ
灰泥軽茶

たくさんのバナナ一キロ

ふさふさのバナナ一キロ

食べても食べても減らない

いや増えているような気がする

もうちょうど食べごろで

蜜のような味がする

強烈な南国の香りが鼻を刺激する

寝ても醒めても部屋中に充満するバナナの香りは

昔となりの一軒家に住んでいた

フィリピンのお姉さんたちの香り

背中に刀傷があった怖いおじさんの香りと

よく似ていて

なんでか仲良くなった頃を思い出すと

ぱっと眼が覚め天井には

バナナが

バナナがふさふさ成っている



自由詩 特売バナナ Copyright 灰泥軽茶 2012-05-25 23:08:34
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