こころの物心
yuugao

掃除をしてくれている人がいなくなった頃に
もう一度、あの人に逢いたい。

僕も一度は句読点と
さよならしたいと思ったことがあったけど
でも結局、駄目だった。

帰ってくる(べき)場所に
何のためらいも無く帰ってくることが
こんなにも憎らしく
そして、こんなにも安らかな事だとは知らなかったんだ。

昔はみんな
何かを拾うことに夢中で
自分が何かに変わっていくということには
少しも気付け(か)なかった。

みんな一緒になってバラバラになるときは
みんな一度は「一緒」を忘れるけれど
だけどそのあとに、やっぱりみんな
今度はみんな"で"一緒じゃないのに
それでもみんなそれぞれに
心のどこかで「一緒」を探してる。

本当なら汚れの絶えないところだとしても
掃除をしてくれる人がいる間は
みんながみんなを忘れられないでいるのだと思う。

だから句読点も、僕も、あの人もみんな
みんな「みんな」から
帰ってくることとは反対のことをするようになっていて
そうしたら今度はもう一度また
"そこ"へ帰ってくるようなことをするのだと思う。


自由詩 こころの物心 Copyright yuugao 2012-05-25 21:02:58
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