幾千幾億の高揚樹林
komasen333
淡く儚く散り逝く
切なく脆く飛び立つ
昇る音階に
合わせるように踏み出したおぼろげな勇気
迷い込んだのは
昔話めいた背景音の森
行方はなくとも
目指していた愛は遠くとも
叙情的な交響曲に
包まれるように洗われるように
意識は
大空を翔る鳥達のように伸び伸びと
知らなかった感覚
小さな小さな風景の連続
知らなかった場面
次々に紡ぎゆく自然の呼び声
遠い日々に呼吸していた海の感触
螺旋階段のように昇っていた
深海魚たちの息づく粒
唐突に
この心に安楽の潤いとはまた違う
太古の記憶にも近いものを想起させる
知らなかった感覚
小さな小さな連鎖に掬われ
知らなかった場面
次々に紡ぎゆく闇の頒布に救いを見る
狂おしき季節
整然と切り替わりながら
それ以上に
雑然と重力に重力を加える
愛おしき季節
整然と彩を重ねながら
それ以上に
猛然と光陰矢のごとしを賭ける
幾千幾億の鼓動が
辿ってきた叡智に
静かに細やかに 深く感謝を注ぐ
幾千幾億の時が
目指してきた遥かな遥かな普遍に
静かに細やかに 深く祈りを捧ぐ
歌声は今
高揚樹林の合間を縫うように
いくつも峰をまたぎ大地に響き渡る
鳥達は今
遥か彼方から連なる遺伝の面影を
滲ませるように調和を組み
自由に本能的に世界をクレッシェンド