隻腕の利き腕
朝焼彩茜色
準利き腕に持たす
縺れながら起動を試みる
連続せざるを得ない
一重しか着せられぬ魂の衣
天動説に猜疑心を得ぬ かつての利き腕
古びた微温湯に浸かった
自己愛に引きずり 酷使した
隻腕の祀る祭壇
失ったもののカウントなんてダウンするだけ
霊感を背中に彫り
あばらに引っ掛け
今在るものを 零さず行け
失ったものを拾う時間なんてない
塵取り持つ腕なんてないんだ
掃いてやるよ 彗星が
準利き腕で掬いの行為を葬り
救えるものなら救ってやりたい
一重の鎧さえ脱がされる魂
準利き腕に永住さす
漲る 彗星を操る
修羅場に赴き
四天王の門前掃いに 片腕の彗星 渇で飛ばす
帝釈天は黙秘する
阿修羅が額に近づいて来る
さっきまでの漲りが 葬られる 砂の足音が生ぬるく響かない
帝釈天は足を組む
阿修羅が額に近づいて来る
後ずさりする足を 準利き腕が
くい止める
三分割されない阿修羅に
失うものなど 欠片も刻んだと
準利き腕が純粋に火を吹く
火汗が不自由のない足まで流れる
三分割されない阿修羅に
額の汗を凝視されている
初めての修羅場に
地動説の進化のなさに
自分の愚かさに 虚しさに
隻腕の祀る祭壇に
今も心を閉ざさない華を片手で持ち
片手で合掌する
涙が不自由のない足まで流れる
帝釈天は微笑み黙秘する
三分割されない阿修羅は
再生されない三次元の元で
かがみ膝をつき
不自由のない足まで流れる落ちる
涙を
菊の華びらの形の様に 手を添え 受け止めた
純粋に火を吹いた 失った痛みから
救いたかったんだ
救いたかったんだ
全ての痛みを