ひとでなし
HAL

きみはひとの途を
きみはひとの絆を
きみはひとの義を

いつも見下す目線で見ている
だからだろうね

きみはいつも憤懣を抱える
きみはいつも逆鱗を覚える
きみはいつも偽善を責める

ぼくはそんなきみを見ていて
いつも可哀想だと想っている

憤り 激怒し 偽善を憎む
それってほんとうに正しいことなのだろうか
それってほんとうに幸せなことなのだろうか
それってほんとうに賢明なことなのだろうか

余りにきみは虚しい
余りにきみは憐れだ
余りにきみは愚かだ

ひとの世界を断罪することばかりで
ひとの世界の短所を見ることだけで

きみは自分を護っているとしか想えない
だからきみに寄り添うひとは去っていく

それは孤独なのに
きみは孤高として
己に自惚れるだけ

だけどきみがしていることは
ただひとを傷つけるばかりだ

そんなことでひとは世界は変わりはしない
ひとも世界も正しい方向へとは向かわない

そんなきみを眺めていると
きみは余りに独りぼっちだ

きみがきみを変えようとしない限り
きっときみは死ぬまで独りぼっちだ

ぼくがきみに想っていることを
もっとはっきり言っておこうか

きみは単に多くのひとにこの世界に
ただ毒を撒き散らす人間に過ぎない

きみは毒蛇や毒蜘蛛らとまったく
同じ種類の生き物だと言うことだ

やがてその毒にきみも犯されることにすら気づきもしない
この世界に不必要なひとでなしと呼ぶものがきみなんだよ




※作者より
“きみ”とはぼくであり、同時にまた“ぼく”とはぼくのことです。


自由詩 ひとでなし Copyright HAL 2012-05-25 05:07:36
notebook Home 戻る