セロファンの幻
灰泥軽茶

コンビニを出ると

誰かがお菓子の箱を開けて

ぽいっと捨てたセロファンが

ちょうど私の目の前に

空から垂直に錐もみしながら落ちてきた

ひとときのま

私の頭はどうにかなってしまい

飴色の龍が空から

しゅるしゅるしゅるり

落ちてきて

美しい仙女に成りかわり

陽気な午後に

コンビニの駐車場に横たわっているんじゃないかと

ひとときのま

目の焦点が遠くへぼやけていたのが

駐車場の白線に徐々に戻っていき

買ったどら焼きが入った袋をくるくるまわしながら歩き去った




自由詩 セロファンの幻 Copyright 灰泥軽茶 2012-05-24 23:46:00
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