彼我
takano

黄金の街を走っていた
朝靄の薄い空虚を吐き出しながら
黄金のメッキに塗り潰された鳥たちが
高速回転しながら
物凄い速さで
垂直降下し
渇いた微粒状の粘膜を切り裂いている
街の波動は恐怖に打ち震え 街路樹が気絶し始める

無人のタクシーが走りさっていく
無数の動脈硬化した手たちが追いかけるが
落下が止まらない鳥たちに行くてを阻まれ
深淵に向かって逆噴射する涸渇した貯水槽に身を投げる

そして今 私は
地下鉄の階段を登っていく


自由詩 彼我 Copyright takano 2012-05-23 11:35:05
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