新月
和田カマリ
僕の昨夜の窓から
お通夜のような
山腹のともし火が
見えていた
夜が更けるほど
冷えかけの
マグマのように
増して行く
くれない
やがてそれは
手を加えた
薔薇のように
美しく咲いた後
突然に
消えてしまった
あたりには
新月の気配だけが
残った
自由詩
新月
Copyright
和田カマリ
2012-05-21 19:14:12