Isola *島*
南 さやか
その電話を切ったあとに 訪れた闇
星のようなさっきの会話の断片が
残響の空をちぎって ひとつずつ
私の背中に落ちてくる
大切な言葉だけを言わなかったふたり
一番弱い その場所がいつか
互いのくちびるで剥がれて行くその日まで
ここで静かにかぞえる 夢の滴(しずく)
出会いは時の降る島
あなたも 私も
風の導線を伝う旅の途中
目と目が合うわけでも
鼓動と鼓動を確かめるわけでもなくて
空気のようにゆらゆらと
その 電話を切ったあとに 訪れる闇
だけどこの静けさを 前のように恐れない
だってふたりはいつでも 好きな時に
ここで会えるから…