ぬけがら
そらの珊瑚

一日の終わりに
脱いだ
ぬけがらが
いくつか並んでいる

命がけで
脱いだわりに
その佇まいは
くしゃみ
ひとつほどの
可笑しさを漂わせている

上手に脱いだ
ぬけがらは
二枚重ねの特別製
関節のところで
わずかに折れ曲がる
必死にもがいた
腕脚のカタチだと思えば
あくび
ひとつほどの
愛おしさを漂わせている

羽化した人間は
はちみつ色の夜に向かって
かさりかさりと
はばたくのだ
ほら、
うすみどりいろの
セロファンの羽を
小さく震わせて

(画像がありません)




自由詩 ぬけがら Copyright そらの珊瑚 2012-05-18 09:03:56
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