映したものは
ただのみきや

  雨に濡れたアスファルトに
 
  並木のみどりが映っている

  言葉に餓えた人たちが
 
  傘に隠れて哭いている

  雨は涙に良く似ている
 
  昼は処刑台に良く似ている

  蔑みと嘲笑は
 
  息をするかのように

  猛禽が叫ぶように
 
  自動車は止まらず

  雨に濡れたアスファルトに
 
  滲みゆく 紅の鳩

  この心が映すものも また
 
  かすみゆく ひと片のいのち


自由詩 映したものは Copyright ただのみきや 2012-05-17 00:24:14
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