火傷
nonya


アチッ

二日酔いの朝
朝靄に包まれた意識の森で
突然発火するのは
昨夜の記憶の欠片

アチッ

酔いにまかせて
自分のてのひらとあしうらに
醜く刻まれた皺を
語ってしまった熱過ぎる

後悔

自分が背負っているものを
すべて地べたに下ろして
店開きしてしまいそうになる

酔っぱらい

たまにリュックの結び目を
これ見よがしに緩めて
中身を匂わせてやりたくなる

意気地なし

うすっぺらな臆病者が
いっちょまえに酔っぱらって
芥のような言葉を散らかしては
あとで想い出して

アチッ

火傷
痕が残らない火傷
たちまち忘れてしまう火傷だから
性懲りもない

自分

嫌っても仕方がないから
思い切り顔をそむけながら
嫌々抱きしめてやるしかない




自由詩 火傷 Copyright nonya 2012-05-16 21:44:16
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