グルーミング
梅昆布茶

さわれないことば
冷えてゆくかけがえのなさ
いつもとぎれてしまうモチーフ

あたたかいスープもないテーブルでは
君の影がゆらめいてみえる

ほんとうは君の髪にふれていたかった
ゆびがいたくなるほどはてしなく

やさしい時間にこころとからだをゆるめて
魔法のエンドルフィンの陶酔に
世界を凝縮してしまいたかった

ぼくたちは進化のかたすみの霊長類
動物行動学の痛々しいサンプルではなく
理科室の人体模型の兄弟でもなく

そう僕らの車椅子にははねが生えているんだって
いままできづかなかっただけさ

かなしい親愛のしるしは
ありきたりな携帯メールの絵文字のなかで
燃え尽きてしまったねあとかたもなく

僕はきみとの社会的共存と和解と
ちいさな序列のためにきょうも
きみのやわらかなうなじやその
光に映える髪に

すべてのきみに
指をすべらしていたかったのだ



自由詩 グルーミング Copyright 梅昆布茶 2012-05-15 23:21:53
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