ひかり まわりみち
木立 悟





蝶のくちもと
触れる予兆
硬い草色
舐め取るふるえ


粉にまみれた異母兄妹を
泡のように飲み干して
こぼれた光
夜の 市街


皆のところに行けない犬
噴水を巡り
消えては現われ
同じ影をすぎる


遅く目覚め
改まる
河口の市に
風おくる日没


帆船の上の会話
いつか離れ 帰らない
夜の方から午後を語れば
いつまでも終わらぬことに気づいて


やわらかなかたまりに導火線を埋め
遠く遠くのばしてゆく
線はいくらでもつづくのに
火はどこにも見あたらぬ


白い紙の 半分は青
隅を折る三角
手のひらの上の手のひら
光こぼす高さ


涼やかな
春の雑音
花の隙間に
指いれる空


灰の星がふたつ
たがいの頬を見つめ
音はひらき 羽に腕になり
まなざしの交点にからみつく


野の道 夜の道
つなぐ鳥の背
時計を沈めた水たまり
揺れる空を越え つづく








































自由詩 ひかり まわりみち Copyright 木立 悟 2012-05-15 09:39:08
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