少年スカイツリー
アラガイs


切り取られた一枚の記憶が川下へ流れては沈む傍らに
日暮れを思い起こせば深く胸に刻まれた年輪の危うさ
地上より高く聳え立ち
波は大きくうねりながら目蓋を伝い近づいてくるけど
‖溜まりに浮かぶ澱みにのみ込まれたりはしない
空は閉じ、光の筋が斜めにはしるシャワー
隣の垣根を飛び越えたボール
急ぎ足を鈍らせるのか、と誰かが囁けば
あの日突然の夕立に走りだした
広場の濡れたベンチでちぎれた少年マガジンを拾う
庭先で姉が見忘れた少女リボン
見上げれば近すぎて見えない雲の隙間
駆け巡る雨のなか遠くを振り返れば
ボクらはもっと世界を見渡せるはず 。












自由詩 少年スカイツリー Copyright アラガイs 2012-05-15 08:28:57
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