ブエノスアイレスの夏
吉岡ペペロ

バンドネオンの演奏を初めて生で聴いた。

黒い直方体の蛇腹を拡げたり縮ませたりしながら、

左右ともに30以上あるボタンを押して演奏するその楽器は、

習得の難しさから悪魔が発明した楽器と呼ばれているそうだ。

楽器が、奏者が、暗い魂を身もだえさせる。

不協和音が、運命を急かせている。

なにを刺激し、酔わせるのか。

朴訥な物悲しさが、宿命に黒い火を燈す。

ねばる哀切が、足先にリズムをとらせて、

楽器の、奏者の、暗い魂に魅入られている。

ブエノスアイレスの夏という曲だった。


宇宙の闇にひとりぼっちだ

剥き出しの魂や運命や宿命

体中の毛穴がひらいてゆく


バンドネオンの演奏を初めて生で聴いた。

黒い直方体の蛇腹を拡げたり縮ませたりしながら、

左右ともに30以上あるボタンを押して演奏するその楽器は、

習得の難しさから悪魔が発明した楽器と呼ばれているそうだ。

楽器が、奏者が、暗い魂を身もだえさせる。

不協和音が、運命を急かせている。

なにを刺激し、酔わせるのか。

朴訥な物悲しさが、宿命に黒い火を燈す。

ねばる哀切が、足先にリズムをとらせて、

楽器の、奏者の、暗い魂に魅入られている。

ブエノスアイレスの夏という曲だった。





自由詩 ブエノスアイレスの夏 Copyright 吉岡ペペロ 2012-05-14 22:08:55
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