薄日
凛々椿

薄日
午前と午後のはざま
直径8mmの無数の穴から私は
偽物かもしれない平穏を覗き見ている
こんど メールを送ります
そういっていなくなってしまった人たちや
畳に敷かれた二枚のお布団のことや
まぶしいひかりの繁華街のこと
夜の坂道のこと
時速100kmの中のぬくもりのことなどを
思い出している
近くて
遠いものを
8mmの無数の穴で覗き見ながら
つめたい風で心をひやして
少しの陽光で心をあたためて
さようならの人たちに
ありがとう
またね









自由詩 薄日 Copyright 凛々椿 2012-05-14 12:19:27
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