風とオルガン
南 さやか

隣室から響くオルガンの音で目が醒めた
そこには何もない
ただ 君と過ごした時間の跡形だけを そのままにしてるだけなのに
やっぱりオルガンが鳴っている

ノックをしたら 音楽は止むだろう

だからこのままずっと聞いていたかった
君が奏でるレクイエム


ちいさなちいさな命を抱いて 君が鳥になった朝
何も知らずにここで 僕は君の絵を描いてた
記憶の中に佇む君の

現実の君とは少し違う 穏やかな微笑みは
一年前の君だ


そして鳥になって空を行ったあとの
今の君かもしれない…




自由詩 風とオルガン Copyright 南 さやか 2012-05-14 04:10:33
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