クスシノユビ
霙小町


 さびしい薬指を放り置いて
 あなたはどこへ行くの
 遠くなる約束は
 孤独を知らせる鐘

 わたしのことを食べていいわ
 だけど 左の薬指だけは
 最後のとっておきにしてね
 お気に入りなんだもの

 悲しいわたしの薬指
 あなたを待つばかりで
 ああ まだわたしの手がきれいなうちに
 帰ってきてね

 遠ざかる約束は
 生きてゆく希望

 ねえ いつかちゃんと
 わたしのことを食い殺してあげてね



自由詩 クスシノユビ Copyright 霙小町 2012-05-13 16:01:37
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