庶民の香り
朝焼彩茜色

庶民の香り 聖徳太子の印刷に混ざる 懐かしい庶民の香り
レモンくらいしかなかった庶民の香り 黒電話がリンリンと擦り
                  思い出す香り

ブラックライトを溶かした色の入浴剤の香り 世界名作劇場の時間まで漂う
懐かしさにミレニアムをとうに越した今に 嗅覚が盛りに欲を泳ぐ 
                    香りの溜池のそこを

庶民の香り フェラーリの赤はかき消せるだろうか・・・お茶の間の空気の香りを
庶民の香り メルセデスは受け入れてくれただろうか・・レモンくらいしかなかった香りを

ボトル制のオネエサンたちみたいな 華やかに遊ぶフェロモンとは違う
香り水をバカラのような瓶には 詰めれない 庶民の香り

 それでも進化する レモンくらいしかなかった庶民の香り
 ドラッグストアで進化をもたらす 食券を買うように嗅ぐ香り

 久しく水が流れる度に その香りで洗浄もしてくれる あれをトイレに掲げた
 大げさな庶民の香り 

 レモンくらいしかなかった香り 今はアロマテラピーまでほどこす
 癒しの庶民の香り




自由詩 庶民の香り Copyright 朝焼彩茜色 2012-05-13 15:31:56
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