【 母の日 】
泡沫恋歌

車椅子の母の髪をカットした
チョキチョキ ハサミで切りそろえる
黒い髪より 白髪の方が多くなったね

わたしは 母が年を取って授かった
上には 年の離れた兄弟たちがいて 
望まれないまま この世に生まれた

子供の頃 母はわたしに無関心だった
参観日のとき ひとり年取った母が
同級生に恥ずかしかった

年頃になったら 母の生き方に否定的で
母みたいな 人生だけは送りたくないと
深く心に誓っていた

なのに つまらない男に恋をして
苦しい生活していたら 『他の兄弟に内緒だよ』
ヘソクリから母が 毎月仕送りしてくれた

ずっと母に 愛されていないと思っていた
本当は愛してくれていたのに……
気づかなかったのは わたしの方だった

ゴメンね お母さん……
恩返ししたいから 神さまお願いです
もう少しだけ この人の娘で居させてください

お母さん 本当にありがとう




自由詩 【 母の日 】 Copyright 泡沫恋歌 2012-05-13 08:29:54
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