森の夜伽
月乃助

森には、巨きな扉がある


地図をひろげ、
内密空間の地理的分析に関する真の定理をさがす
それは、風景以上に一つの精神状況なのです


森は、幽玄性を証明したり 
幽玄性の幻想をあたえたりする統合体
鉛直性の意識のよびかけの一つ


 安易に
諸相から一般的な森に癒着したイメージを
そのまま受け取ろうとすれば、
絶対的にそんな解剖を拒否するのです


私は、理解しようとして、
森を集中した存在として想像したり
求心的な意識として 呼び覚ましたり、
つまらぬ徒労をくりかえす

それには、理由があるのです


この森で、

私の孤独の中心にある価値付与作用は、甚大で
原始的であり また 刹那的でもあります それは、
氷結に襲われた 囚われの守人


( 夜のひそかな中心で、夜伽をする者 )


 森の扉の門番さながら
 ただじっと 見張り 耳を欹て 待つ



そんな時、
沈黙が私にむかって反響する
私は、意識をなげさり 感覚をうかびあがらせる



森は、すでに死を斥けた
それならば、この扉の向こうには、、、、



森 ・・ お前は、何を聞いている

女 ・・ 何も。ここには、静寂しかないではありませんか

森 ・・ 耳を澄ませ、お前にもそれが聞こえるはず

女 ・・ なんの

森 ・・ この星の自転するその音が、それが、お前がさがしている
     その扉の鍵



 扉を凝視し、

 その向こうに咲いているはずの、花の景色を想いやる
 私は、その意識が拡散してしまわないように

 もう一度 そして、もう一度 その巨きな
 扉を見つめた








自由詩 森の夜伽 Copyright 月乃助 2012-05-11 21:08:16
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