遺言花
アラガイs


根付いたまま、窓硝子の曇りでわかる
明日はきっと爽やかな風が吹くでしょう
…おかあさん…と呼べなくなってしまうおふくろ
自分を愛することを捨てた 。
あなたの背中を拒否するように
自分だけを信じて生きてきた
乳房にすがり付いたままのわたし
それもあなたの一部でしかなかった 。
憎しみ、罵り、悲嘆に喘ぎながら
汚泥はゆっくりとながれ、土の底に溜まる
太い樹の幹が枯れることのないように
仏様に供えた鉢も
忌みついた枝の先も
葉脈にはしる、偽りのない筆を握らせる
戯れの言葉でしかなかったよ
…おかあさん…窓硝子の庭先をみつめる
わたしがその日生まれ変わるとき
あなたが召された翌日は縁
野菊の小さな花びらも散るでしょう 。












自由詩 遺言花 Copyright アラガイs 2012-05-11 06:12:41
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