蜜柑
たもつ

 
 
野原に自転車が倒れていた
車輪が外れていたので
持っていたアイロンで
直すことにした
うまく直せないでいると
両親と兄がやってきた
みんなアイロンを持っていた
あれこれしているうちに
いつしかトランプ遊びが始まった
家族でトランプをするなんて
いつ以来だろう
カードがばれないように
うまく隠しながら
蜜柑を好きなだけ食べた
やがて一人、また一人とあがり
順に野原から帰っていった
仕方なく
再び自転車を直し始めた
コンセントが入ってないことも
とうに知っているはずなのに
気づかない振りをして
アイロンを使い続けた
 
 


自由詩 蜜柑 Copyright たもつ 2012-05-10 19:13:32
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