[今日に馳せる]
東雲 李葉

ここに今日しかない風景
いつまでも同じじゃないあなたと私
田んぼに張られた水面の見方を少し変えてみれば
流れる雲の切れ間からわずかばかりの青い空
徐々に徐々に赤らんでやがてやがて黒ずんで
一日の背表紙がまた溜め息と共に閉じられる

朝が好き
昼が好き
夜が好き

すべからくあまねく果てしなく
愛すべきものより愛したいものを
例えば今この瞬間のあなたをわたしを
在りし日に思いを馳せ鈍い後悔に指先を痛めては
何度となく同じことを繰り返す
今日とは違う明の日をかけがえないと気づくまで


自由詩 [今日に馳せる] Copyright 東雲 李葉 2012-05-10 18:08:19
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