当方滅亡
……とある蛙

今日は風が強いのでティラノザウルスは巣に閉じこもったきっり外に出ようとはしない。風が身にしみるのだ。ただひたすら蹲っている毎日。彼はハンターだが最近とんと獲物に遭遇したことがない。もちろん空腹で仕方がない。最近は風当たりが強く風が冷たいだけでなく、陽射しが弱く、寒さについウトウトしてしまう。いくらか羽は生えているが、到底この寒さを我慢するには足りない。悪いことに若いときからに肉しか食べないので痛風を患っているのだ。血の滴った赤身肉ばかり食べていた因果だ。群れから外れて女房を見つけることもできず、しかも空腹。生きている希望が何も見つからない状態で彼は蹲っている。誰が悪いの彼が悪いのかという考えはトント浮かばない。もちろんアフリカ象の30分の1しかない彼の脳みそでこんなことを考えるはずもない。生きたいし、飯も食いたい。でも痛風は痛い。こんな彼でもこの時代の食物連鎖の頂点にいたと誤解されている。後世「暴君」というようなご大層な名前を付けられている。現実はもっとか弱く脳タリンな蜥蜴でしかない。蜥蜴嫌いの後世の猿から付けられた有り難くも何ともない名前だ。

轟音が響く、彼は頭を擡げた。空を眺めるとほとんどぼやっとしか見えない空であったが、巨大な火の玉が落下してきたことだけは見えた。あっ死ぬんだ。と彼はその時思ったようだ。死ぬの生きるのだけは生命維持装置のしての弱いおつむでも感じる。それが哀しいとか嬉しいとか全く感じないが…………プッツン(無音)


自由詩 当方滅亡 Copyright ……とある蛙 2012-05-10 10:45:17
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