お務め
HAL
希望と呼ばれるものに
過剰な期待をしてはならない
希望だってぼくら以上に忙しいんだ
あちらに希望を失いそうなひとがいれば
どれだけの遠い距離であっても希望は駆けつけ
そのひとに寄り添い抱きしめる
それは希望がほんとうに希望を必要としているかを
即座に見抜く力を持っているからなんだ
だから簡単に挫け弱音を吐くものが
すぐさま希望を求めてはいけない
それは風邪で38℃の熱をだし
救急車を呼ぶ行為とまったく同じことだ
ほんとうに崖っぷちの瀬戸際まで追いつめられ
一陣の風が吹けば荒波の海へ落下していくひとが
希望を強く求めても好いし
希望はそれにきちんと応えてくれる
そこだけを履き違えるなよ
容易く絶望するものたちよ
希望はほんとうにきみらが想っているほど
暇ではないことを知っておくべきなんだ
またほんとうに切羽詰まって生きるか死ぬかを
逡巡するひとはきみらが想う以上に多いのだ
希望はそのひとたちを救う役目を担っているし
そのためにぼくらの世界に存在している
でもきみらは希望を善なるものと
勘違いしているようだから
希望の正体を教えておいてあげるよ
希望は実は絶望だったんだ
それで多くのと云うより数え切れない
ひとびとを殺してきた
だから絶望は罰せられその贖罪として
希望としてそのお務めを果たしているんだよ